【次世代認可エンジン】Googleの知恵を世界へ。OpenFGAが変える権限管理の未来
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【次世代認可エンジン】Googleの知恵を世界へ。OpenFGAが変える権限管理の未来

OpenFGAは、Googleの認可システム「Zanzibar」の理論をベースにしたオープンソースの次世代認可エンジンです。従来の「役職(ロール)」による管理を超え、「所有者のチームメンバーなら閲覧可能」といった複雑な「関係性(ReBAC)」を0.05秒という驚異的な速さで判定します。導入には論理設計やデータ同期の課題もありますが、組織の成長に合わせて柔軟かつ強固な権限管理を実現できる、モダンなシステム開発の新スタンダードです。

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Nijino Matsumoto /松本 虹乃
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【次世代認可エンジン】Googleの知恵を世界へ。OpenFGAが変える権限管理の未来

システム開発において避けては通れないのが、誰が、どのデータにアクセスできるかというルール作りです。しかし、サービスが成長し、組織が複雑になるにつれ、この管理はエンジニアを悩ませる巨大な迷宮へと変わっていきます。

そんな中、Googleの社内システムをヒントに生まれた革新的な技術、OpenFGAが、今世界中の注目を集めています。

OpenFGAとは

例えば、Googleドライブを想像してみてください。

「この資料は、Aさんには見せていい」「Bさんには編集させていい」「でも、グループCの人は見るだけで編集はダメ」

こうした、誰が何をしていいか管理することを「認可(Authorization)」と呼びます。サービスが巨大になり、数億人規模のユーザーが複雑な共有設定を行うようになると、従来のデータベース設計では処理が追いつかなくなります。

そこでGoogleは、自社の膨大なデータを守るために「Zanzibar(ザンジバル)」という画期的なシステムを開発しました。そのGoogleの理論に感銘を受けたAuth0/Okta社が、誰でも自分のシステムに組み込めるようにオープンソースとして開発したのが、このOpenFGAなのです。

OpenFGAの面白さ

OpenFGAの面白さは、これまでの管理方法をより人間に近い形に拡張したところにあります。

① 「関係性」で世界を見る (ReBAC)

これまでは「部長だから見れる」という「肩書き(ロール)」重視の管理(RBAC)が主流でした。しかし、OpenFGAはそこに「関係性(Relationship)」という概念を強力に持ち込みました。

「田中さんは、このドキュメントの『所有者』である」

「佐藤さんは、田中さんのチームの『メンバー』である」

「所有者と同じチームのメンバーなら、閲覧できる」

このように、人間関係や組織のつながりを定義するだけで、複雑な権限を自動で計算してくれます。もちろん、従来の「部長」といったロール管理も組み合わせて使えるため、「肩書き+人間関係」という現実社会に近いルールをデジタル化できるのが最大の魅力です。

② 複雑な迷路を瞬時に解く設計

「Aさんは、Bさんが作ったフォルダ内にあるファイルの閲覧権限があるか?」という問いは、コンピュータにとっては複雑な家系図や迷路を辿るような作業です。

OpenFGAは、この迷路を0.05秒ほどの驚きの速さで解くように設計されています。GoogleのZanzibarが数億人のリクエストを捌いているのと同様に、OpenFGAも適切なインフラの上で動かせば、膨大なユーザー数にも耐えうる圧倒的なポテンシャルを秘めています。

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OpenFGAの課題

魔法のようなツールですが、実用化にはいくつかのハードルもあります。

「ルール設計」がパズルすぎる:「AならばB、BならばC、ただしDは除く」といったルールを専用の言語(DSL)で書く必要があります。これが高度な論理パズルのようで、最初に「家計図のルール」を設計する担当者にとってはとても大変な作業です。

データの同期を保つ難しさ:自分のアプリ側のデータベースで社員が増えたとき、その情報をOpenFGA側にも正しく伝えてあげなければなりません。この2つの情報のズレをなくすための仕組み作りが、エンジニアにとっての腕の見せ所であり、苦労するポイントです。

日本語の情報がまだ少ない:世界的に注目されている最先端技術ですが、日本語のドキュメントはまだ限られています。何かあったときに、英語の論文やコミュニティに飛び込む勇気が必要です。

まとめ:なぜ今、OpenFGAを学ぶ価値があるのか

これからの時代、データの機密性はますます重要になります。うっかり隣のチームの給与明細が見えてしまったというミスは、組織の信頼を失墜させます。

OpenFGAは、そんなデジタルの安全を根っこから支える新しいスタンダードです。

たとえるなら… これまでは「各部屋のドアに物理的な鍵をかけ、誰に渡すか紙のメモで管理していた」のが、OpenFGAを導入すると『家族』や『友人』といった関係性を登録するだけで、システムが自動的に顔認証でドアを開けてくれるようになる。そんなスマートな世界を目指しているのです。

ユーザー間の複雑な関係性を正しく、かつ一瞬で判定できるOpenFGAは、サービスの信頼性を支える強力なバックボーンとなります。導入には設計上の工夫やデータの同期といった課題も伴いますが、それらを乗り越える価値は十分にあります。

これからの認可設計の新スタンダードとして、OpenFGAを選択肢に加えることは、あなたのプロダクトを次のステージへと引き上げる大きな一歩になるでしょう。